大学概要【2024年度実施分】生物環境を基盤とした持続型社会構築に向けた人材育成

農学部

生物環境を基盤とした持続型社会構築に向けた人材育成
実施責任者:村野 宏達

SDGsやMDGsに象徴される持続可能な開発?社会の構築に向けた取り組みが重要となってきている。次世代を担う学生にとって、生物環境科学科の掲げる「生物?人?自然の調和」に繋がる、より実践的な学びは、学生にとってだけでなく、社会全体の幸福につながる。本取り組みは、学外の多様な生物環境に係る人材との交流や現場での体験?学びを通し、総合科学的な理解力、洞察力、実践力を養い、人類の永続性を支える人材の育成に資する。

ACTIVITY

青年海外協力隊員の活動をとおして環境の国際貢献を考える

2024/05/29

5月27日に2011~2013年にバングラデシュへ感染症対策(フィラリア症)を任務として青年海外協力隊に参加した薬学研究科修了生の鈴木俊敬さんのお話しを38名の学生が聞き、生物環境科学科で学んだことを活かした国際貢献について考えました。鈴木さんの講演に先立ち青年海外協力協会の加藤さんより、日本が戦後の復興に世界から2番目の援助額を得て復興したことなどを紹介され、途上国に貢献することの重要性や、利他的に生きることの重要性を協力隊での体験をもとに講演されました。鈴木さんからは、バングラデシュのフィラリア症感染症対策での活動を通して見てきた国際貢献を押し付けるのではなく、現地の人と一緒に取り組むことの大切さや、予防薬の集団投与の活動を通してWHOの定めるフィラリア症制圧の目標を達成した取り組みについてお話しいただきました。聴講した学生からは多くの質問が出るとともに、講演の後にも個人的に意見を交わすなど、環境に関わる国際貢献について考える良い機会となりました。

絶滅危惧種の調査を体験 ?ウミガメ産卵調査実習?

2024/07/24

2024年6月29日(土)~ 30日(日)に学部1~3年生の計6名で、絶滅危惧種アカウミガメの産卵調査実習を行いました。実習地の千里浜(和歌山県みなべ町)は日本でも有数のアカウミガメの産卵場で、ボランティアや学生、研究者らで結成される調査チームによる産卵個体モニタリング調査が30年以上も継続されている貴重な場所です。実習では、まず明るいうちに千里浜を歩いてウミガメの上陸痕や産卵巣の観察を行い、夜間は調査チームに加わって産卵個体を探す砂浜パトロールを行いました。ウミガメは光に敏感なため、パトロール中は懐中電灯をつけません。学生らは月明かりに頼って砂浜を歩くことで、暗闇に慣れた目には僅かな光も眩しく感じることを体感し、各地で問題となっている産卵場の光害について考える良い機会となりました。当日はウミガメがなかなか上陸しませんでしたが、待機時間には日本ウミガメ協議会会長で四国水族館館長の松沢慶将氏にウミガメに関するご講義をいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。深夜を過ぎ、諦めかけた頃にようやく1個体が上陸し、最後は全員で産卵個体を間近で観察することができました。参加した学生からは、野生のウミガメを見て感動しただけでなく、調査に関わる人々の姿に刺激を受けたとの声もきかれ、絶滅危惧種の調査や保全について考える良い機会となりました。

調査拠点の千里ウミガメ館

ウミガメ上陸痕の観察

International Student Seminarへの参加

2024/11/22

2024年11月11日(月)~ 15日(金)に中国武漢の江漢大学で開かれたthe 16th JKTC International Student Seminarに2名の学生が参加し、研究成果を口頭発表および座長をしてきました。当該セミナーには4か国6大学から200名を超える学生が参加し、口頭発表、ポスター発表を学生が行うとともに、主催国である中国の第一線で活躍されている研究者3名による基調講演がなされ、国際的な学生交流を進めるとともに、それぞれの最新の研究課題について活発な意見交換がなされました。

参加者による集合写真

本学学生による英語での口頭発表

本学学生とタイの学生による座長

参加学生への発表証明書の授与

土壌断面調査トレーニングコースへの参加

2024/12/05

2024年11月30日(土)?12月1日(日)に第31回ペドロジストトレーニングコースに6名の学生が参加した。このトレーニングコースは、土壌断面調査の基本、分類法を習得することを目的として毎年行われるもので、本年は宇都宮大学附属農場で行われ、全国の学生および研究者の計45名が参加した。長尾慶和氏(宇都宮大学)、三浦英樹氏(青森国立大学)のペドロジーのスペシャリストが講師を務め、筑波大学の浅野眞希氏が世話役を務めた。初日に7班に分かれて土壌断面を調査し、2日目に調べた土壌断面について討議した。土壌の断面調査を一人前にできるようなるためには、経験を積むことが重要となる。様々な分野の専門家から学ぶことで、土壌調査の視野を広げる良い機会となったとともに、他大学の学生との交流は生涯の学びを継続するうえでの良い刺激となった。

土壌断面を掘る

班員と協力して土壌断面を調べる

露頭の観察

観察した土壌断面の発表?討議

希少植物の生息環境管理活動(火入れ)への参加と北総地域の重要里地里山の視察

2025/01/30

2025年1月24日(金)~1月25(土)に茨城県常総市で行われている火入れによる植生管理活動に5名の学生が参加した。この活動は地域の自然保護団体の「自然友の会」や茨城県自然博物館が中心となり、河川敷の草原環境を維持するために火を用いて植生を攪乱し、遷移を抑制することを目的として毎年行われている。当該地域には19科29種の絶滅危惧種が生息しておりその生息環境の保全が主眼となっている。当日はあいにくの雨で火を入れることはできなかったが、火を入れる前準備として防火帯の作成、特に希少種が多く生育している林床の草刈りによる環境の整備を体験することができた。その後、環境省の重要里地里山に選定されている「谷田武西の谷津」を視察し、北総台地における草原と森林、湿地の成り立ちと生物多様性との関係を学んだ。また当該地域で環境保全活動をされているNPOの方にお話を伺うことで、都市近傍に残存する生物多様性ホットスポットの状況や保全活動について学ぶことができた。都市近傍に存在する自然の身近さとそれを市の魅力として維持することの重要さを学ぶ良い機会となった。

希少植物が生息するヨシ原

草刈りと防火帯の作成

北総地域の地理的特徴を学ぶ

保全活動について学ぶ

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