MEIJYO_UNIVERSITY2025
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108建築計画?建築設計 (生田 京子) 研究室学生×教員 誌上ディスカッションON-PAPER DISCUSSIONキャンパスを飛び出して街へ地域に入り込みながら学ぶ学生 石川さん(以下学生) 建築家の坂茂氏が手がけた「静岡県富士山世界遺産センター」のユニークな建物に感化され、建築を学んでみたいと思いました。建築学科では、1、2年生で建築の歴史、意匠、設備、構造など広い分野の基礎を学び、その中で特に意匠や計画に興味をもったことから生田教授の研究室に入りました。生田教授(以下教授) 研究室では、主に設計活動やプロダクトデザインを行っています。私の研究室もそうですが、本学の建築学科は地域に入り込み、街の中で活動しながら学びを得る機会が多いのが特長の一つです。学生は地域の方々と議論をしながら計画をまとめ、机上の学びだけでは得られない計画を実行するための推進力を養っています。調査から構想、実現までやり抜き、学生の力でまちづくりに貢献教授 私の研究室では、津島市にある町屋を改修してワークショップスペースに転用するプロジェクトや半田市亀崎町の街づくり活動に参加する取り組みなどを行っています。石川さんたちが亀崎町で行った活動は、愛知建築士会の学生コンペにおいて優秀賞として表彰されました。学生 潮干祭で知られる亀崎には、街のあちこちに「鬼門地蔵」と呼ばれるお地蔵さんが設けられています。研究室のメンバーと一緒に「鬼門地蔵」をモチーフにした看板やベンチなどを製作し、仲町通というメインストリート沿いに設置しました。通りに一体感を演出し、街に活気を生み出すことを目的としたプロジェクトです。亀崎の人たちからは「通りを歩くのが楽しくなった」「鬼門地蔵についてあらためて考えるきっかけになった」と、喜びの声をいただくことができました。建築?インテリア業界で求められる力を体験しながら学び、身につける学生 プロジェクトに取り組んだことで、自分たちの計画を相手に伝えるプレゼンテーション能力の大切さに気づきました。プロジェクトを進めるには、自分のやりたいことを伝えるだけではなく、なぜそれをやるのか、いつどうやってやるのか、管理方法はどうするのかといった計画の解像度を上げて、相手側の立場に立って説明する必要があります。デザインに関しても、デザイン性と機能性の両立の難しさやディテールへのこだわりの重要性について身をもって学ぶことができました。教授 実制作を通して、細かいところまで構法的にも実現させていく緻密な検討の積み重ねを体感してもらい、合わせてチームでプロジェクトを推進していく力、関係者とコミュニケーションをとり進めていく力などを身につけてほしいと思っています。本研究室には、将来的に建築設計やインテリアデザインの職業に就きたいという学生が多いですが、そういった分野で活躍できる人材輩出のためにも、研究、調査、実施、実現をバランスよく行い、学びを深めてもらうことを目指しています。

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