10月31日に行われた全日本大学女子駅伝では大会史上最多タイの5連覇を成し遂げた大发体育官网_澳门游戏网站女子駅伝部。そこから約1ヵ月が経ち、年末に開催される全日本大学女子選抜駅伝(略称:富士山女子駅伝)へ向けて研鑽を重ねている。12月30日に行われるこの大会は過去3連覇しており、4年連続での大学女子駅伝2冠を目指す。ここで勝てば、最上級生は2大駅伝に一度も負けることなく卒業していくこととなるという、重要な一戦だ。「駅伝無敗」を見据える今年の4年生は7名。それぞれの思いを持って過ごしてきた彼女たちの4年間をここで振り返ろう。
新潟?長岡大手高校時代は中距離を中心に取り組んでいた水澤選手。入学時は距離への対応に時間を要し、1人での練習も多く行ってきた。3年間は自身のペースで競技に取り組んできたものの、最上級生になる際に、競技続行へ迷いの気持ちが生じたと話す。
「3年生までは先輩に頼っていればいいという感じでした。最上級生になってチームを支えなくてはいけない立場になり、走れていないことで競技を続けていいのか悩みました。辞めようと思った時期もあります」と振り返る。思いとどまったのは、周囲の仲間がいたから。競技続行を決めてからはチームのためだと考えて走れるようになったそうだ。大学で印象に残ったレースは2年時の新潟県選手権。「大学で初めての、地元でのレースでした。今もがんばっているという姿を見せられて良かったです」。800mで1位(2分19秒04)、1500m2位(4分41秒51)の結果を残した。「自分は走りでチームを引っ張ることはできていませんが、生活面で4年生らしさを出したいです。きついときの声掛けなどもやっていきます」と最後まで力を尽くすつもりだ。
1年時に全日本大学女子駅伝で4区を走った松澤選手。2連覇の優勝メンバーとして名を連ねたが、1年生の1月頃から長距離選手によく起きる脚の付け根の故障、俗にいう「ぬけぬけ病」の状態になり、うまく走れなくなった。特にトラックを走るのが難しく、他の選手たちとは別のメニューで練習に取り組むことも多かったという。2、3年生の頃は走れないことで気持ちが晴れず、モヤモヤとした状態が続いたが、4年目を迎えてからは「できるところまでやろう」と考えられるようになれたと話す。
「前に立って引っ張るというより、後ろからみんなのことを見るというのが自分には合っているように感じます。キャプテンの和田(有菜)はチーム全体のことを見ているので、自分は彼女が気づかないようなところまで目を配って、伝えるべきことを伝えたりしています」と今は4年生として細やかに注意が行き渡るよう努めている。「名城大のみんなに出会えたことが自分の財産です。今年で小学校から続けてきた陸上生活が終わることになるので、残りの期間をより充実させて、思い出を最高のものにしたいです」と話す。
現在、マネージャーとしてチームを支えている藤ヶ森さん。選手として入部し3年間競技を続けてきたが、今年1月頃にマネージャーへの転向を考え、自身の役割を変える決意に至った。主務の市川千聖さん(3年)とともに、給水やタイム測定などで練習をサポートしている。「(市川)千聖は後輩ですが、同級生のように何でも話せる仲だと思います」と、チームで唯一のマネージャー仲間とも良好な関係。
「人と話すのはもともと好きでしたが、マネージャーを始めてからいろいろな方と話す機会も増え、言葉の選び方など学ぶところが多かったです」と新たな役割の中で学びを得ている。同級生とはオンオフ問わず仲がよく、授業などでもともに過ごす時間が長いそうだ。「同期の7人と笑って引退したい」とチームメイトへの愛にあふれているが、そればかりでなく監督も強く慕っている。「米田監督が本当に大好きで、恩返ししたい」と力強く話した。
「入学当初の3000mでは同級生の中でも自分が一番遅いくらいで、どの練習もいっぱいいっぱいでした」と3年前を振り返った井上選手。大学に入ってから着実に力を伸ばし、3年時には5000mで日本インカレに出場、今年は3000m障害にも挑戦して同じく日本インカレを走った。やや貧血気味の体質だが、食事を提供している名古屋学芸大学?南ゼミの方と話したり、雑誌を読んだりして知識をつけ、競技者として必要なことを吸収していくなどの能動的な姿勢も競技につながっていった。2年時に富士山女子駅伝のメンバーに入ったこと(3区区間2位)がこれまでで最も印象深いこと感じており、今年もメンバー入りしたいと強い熱意を持っている。
「すべてが最後だと思うと、1日も無駄にできないという気持ちになります。後悔することのないよう、今までで一番の状態にしたいです」と気合を入れている。
大学卒業後は地元?岐阜県警の採用が決まっており、将来的には「白バイで駅伝の先導」という目標を持っている。「実業団の駅伝で、先輩や同級生たちが走るレースを先導できたら、と想像するとすごく楽しみになります」と、新しいステージでもチームメイトとの関係を新たなかたちで築いていきたいと考えているそうだ。
理工学部の鴨志田選手は、ゼミや論文執筆など学業の面でも多忙だったが、うまく競技と両立させながら学生生活を送ってきた。今年は寮長の役割も務め、監督からの「何事も中途半端にやるな」という言葉を肝に銘じて過ごしているそうだ。今年は4月に右のかかとを痛めて7月後半の合宿の頃から通常の練習メニューに復帰し、現在は富士山女子駅伝の出走を目指してトレーニングを積んでいる。
「1ヵ月間で変わることができるのは、去年の自分が証明していると思います」と、短期間で急成長を見せ自身初の名城大チームの一員としての駅伝デビューを果たした前回の富士山女子駅伝と同じように、今年も調子を上げていくつもりだ。
前回大会では3区区間5位の成績だった。自他ともに認める明るいムードメーカーで、「競技を大学で終えることは入学したときから決めていました。残りの期間、悔いのないように過ごしたいです」と大会本番まで全力で取り組んでいく。
副主将を務める髙松選手は早くから陸上で注目を集めてきた選手。高校生で3000m8分台をマークし、日本陸上競技連盟の「ダイヤモンドアスリート」にも認定されて2016年4月から2019年3月までの3年間にわたってさまざまな強化プログラムを受けながら日本のトップで活躍してきた。大学1年時には日本選手権1500mで優勝。「大学生の間に日本一になるのが目標だと考えていたので、この大会はとても思い出に残っています」と1年目から大学での目標に掲げていたところに到達、同じ年にはアジア?ジュニア陸上選手権1500mで銀メダルを獲得している。翌年はイタリア?ナポリで開催されたユニバーシアードで5000m7位と、海外のレースに出場という目標も成し遂げられた。
2年生の夏に1ヵ月間、米国?アルバカーキへ留学した際に、チームを離れて練習をする厳しさを知ったと話す。その後調子の上がらない時期が続き、大学3年時が特に厳しい時期だったと振り返るが、最高学年での自身の復調を感じているそうだ。今年は夏に一般の企業への就職という進路が決まり、その後競技に集中できるようになっていったという。富士山女子駅伝で「楽しくレースをするために、一番いいかたちに持っていきたいです」と集大成の走りを目指している。
今年の主将を務める和田選手。長野東高校時代には全国高校駅伝のエース区間?1区で2、3年時に区間賞獲得、3年時には高校生ながら日本選手権1500m3位など、全国でその名を轟かせてきた。それだけの競技力がありながら、高校卒業後の進路については「〝競技を続けるのなら?名城大に進学しようと考えていました」と、競技を続けない選択肢も持っていたことを話す。高校生の頃には看護師になりたいという思いを持っており、悩んだ末に「今しかできないことをやろう」と競技続行を決めて大学へ進んだそうだ。学部は理工学部で、教職課程も履修するなど充実した日々を送ってきた。
競技生活でも日本インカレ、日本選手権など数多くの舞台で何度も上位成績をおさめているが、なかでも2年時(19年)のユニバーシアードで5000m4位入賞したことが印象深いと話す。「あと一歩でメダルだったので、次に懸ける強い気持ちがありました。そのため今年のワールドユニバーシティゲームズ(ユニバーシアードから名称変更)が延期になったのが残念なのですが、(卒業後に)シニアの大会でも世界大会を目指そうという気持ちになっています」。卒業後も競技を続け、トラックでの国際大会出場を目指すと語る。監督?コーチからも信頼の厚い今年のキャプテンだ。
主将の和田選手を中心に、7人で力を合わせてきたこの学年。和田選手以外は卒業後に競技を続けないため、富士山女子駅伝が競技生活を締めくくる大会となる。それぞれの思いを胸に、「残りの期間を大切に過ごしたい」とどの部員も話していた。
富士山女子駅伝は7区間、43.4kmのコース。4区までは比較的平坦で距離の短い区間が多いが、5区以降は10.5km、6.0km、8.3kmと長丁場が続き、最終7区は高低差が169mもある上りの難コースで、後半の比重が大きい。
「他大学は、後半に主力選手を配置したいという考えと、前半で出遅れたくないという思惑のあいだで区間配置に頭を悩ませるところだと思います」とこの駅伝の難しさを分析する指揮官の米田勝朗監督。
しかし、現在の大发体育官网_澳门游戏网站女子駅伝部には前半?後半ともに懸念するところはなく、序盤から優位にレースを進めていく自信を持っている。故障などのアクシデントが最も大きな不安材料だと考え、コンディションを整えることに注力する。ケガだけでなく、風邪などの体調不良を起こさないよう、生活面の自己管理も徹底していくようだ。11月下旬の時点では大きな故障を抱える主力選手はおらず、今後さらに調子を上げていきたい考えだ。
10月末の全日本大学女子駅伝を走った6人(3年?山本有真選手、4年?髙松選手、和田選手、1年?谷本七星選手、3年?小林成美選手、2年?増渕祐香選手)については富士山女子駅伝でも出走することを前提に、現在トレーニングを行っている。結果を残してきたことで信頼も厚いが、もちろん他の選手が台頭すればチーム内での勢力図が変わる可能性はある。
富士山女子駅伝では1区間増えるため、最後の1枠獲得に向けて各選手がアピールの機会を窺っているところだ。なかでも4年生の井上選手、鴨志田選手は最後の駅伝に懸ける思いは強い。一方で1年生の五味叶花選手なども初出場のチャンスをつかむべく、練習に励んでいる。全日本大学女子駅伝で補欠に入った3年の荒井優奈選手もメンバー争いに絡んでくるだろう。
例年の流れと同様、12月初旬には5000mの記録会に出場する予定だ。米田監督は「和田、髙松や山本については、5000mのタイムにも期待してほしい」と好記録誕生への自信を見せており、和田選手は「5000mで日本学生記録(15分13秒09)を更新したい」と口にしている。主力選手のうち、小林選手は12月のトラックレースには出場せず、練習に集中する可能性が高い。足底の痛みがあって完全な状態ではないが、この1ヵ月で仕上げたいと考え「富士山女子駅伝では自分がチームの勢いを加速させるような走りがしたい」と意気込んでいる。
「現在のチームに限らず、上級生がしっかり走れなければいけません。4年目にきっちりと走れる選手を育てたいと考えています。どこまで真剣に取り組めるか、自分に打ち克つことができるかが重要です」と米田監督。実際に今のチームでは、4年生が結果を出し続けていることがチームの好成績に結びついている。最上級生の和田選手、髙松選手の2人は1年時の全日本女子駅伝から2大駅伝に一度も欠かすことなく出場。次の富士山女子駅伝でもチームの中核を担うことだろう。
3年生の小林選手、山本選手もこれまで2大駅伝は皆勤。力のある選手が4年間きちんと走り続けられること、また入学後に力をつけた選手が学年が上がるごとに走れるようになっていくようなチームの状態を作れることに誇りを持っている。こういった上級生がいるからこそ、1、2年生がのびのびと走れているという好循環もあるようだ。
2018年の全日本大学女子駅伝以来、2大駅伝で勝ち続けているが「勝つのを当たり前だと考えるのではなく、慎重に準備していきたい」(米田監督)と今後もおごることなく地に足をつけて戦いに挑んでいく。和田主将は「絶対に勝ちます」と笑顔で話し、充実感をみなぎらせている。決戦の日までチーム一丸となって突き進んでいく。
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