メンバーのほとんどが初心者で、最後の全日本選手権出場が20年前と、長らく低迷を続けてきたヨット部が、快進撃!
2024年6月、日本代表としてイタリアで開催された世界大学セーリング選手権大会への出場を果たしました。
?FISUデゼンツァーノ2024世界大学セーリング選手権大会
12位
?セイル?オン 第12回JYMA選抜大学対抗&U25マッチレース
準優勝
?2024 スナイプDAY ヨット選手権大会
2024 470中部オープン選手権大会兼
第78回国民スポーツ大会 セーリング競技 成年男子470級予選会
スナイプクラス9位 470クラス11位
?2023年度 春季中部学生ヨット選手権大会
総合3位 スナイプクラス3位 470クラス3位
?2024年度中部学生ヨット個人選手権大会
予選通過(2艇/全国出場枠獲得)
帆(セール)に受けた風を動力源として進む艇を操作し、ゴールまでのスピードを競うヨット競技。風や潮流などの変化を予測し、対戦相手との位置取りなど戦術を定めていくことから、「洋上のチェス」ともいわれています。
本学のヨット部は1950年に創部。約75年の長い歴史をもち、30年ほど前の全盛期にはインカレ(全日本学生選手権)や国体(国民体育大会)で好成績を残し、全国にその名をはせていました。しかし、その後は長らく低迷が続き、インカレ予選となる中部学生ヨット選手権大会では万年3位。最後のインカレ出場は20年前となっていました。
「何とか選手たちに、全日本の舞台で戦う経験をさせてあげられないだろうか」とコーチ陣が思いを巡らす中、2023年秋、チームのもとへ愛知県豊川市で開催される「セイル?オン 第12回JYMA選抜大学対抗&U25マッチレース」の情報が舞い込みました。コーチ陣が注目したのは、使用する艇。普段はインカレ出場用に2人乗りの470級?スナイプ級を練習していますが、この大会で使用するのは6人乗りの「J/24」という艇長24フィート(約7.5メートル)のキールボート。「他大学も練習経験が少なく、練習すれば勝てるのではないか。さらに会場はホームの三河湾。時期的に予想される強風対策も行いやすいと考え、メンバーに出場を持ちかけました」(森由美子コーチ)。それに対し、横井誠也主将(農学部4年)らメンバーは「自分たちに本当にできるのか不安もあり、最初は乗り気になれなかった」と当時を振り返ります。
そんな彼らの心に火をつけたのが、毎週末指導に来てくださるOBの小沢亘さんでした。「いつも『君たちなら絶対に優勝できる』と励ましてくださって。自然と練習の質も上がっていきました」とメンバーたち。
そして迎えた大会当日。チームの思惑どおり、会場となった三河湾は厳しい状況に。本学は、事前対策を生かし予選シリーズを立て続けに3勝、決勝進出を果たします。
決勝戦は、小学生からヨットを始めた経験者がそろう強豪?慶應義塾大学との一騎打ち。1レース目は慶應の完勝、2勝先勝で優勝が決まる2レース目、スタートで慶應にペナルティーを負わせるなど大健闘するも、最後に小さなミスで逆転を許し、悔しさが残る準優勝となりました。
その後、もう一つのチャンスが巡ってきたのは、数日後。優勝した慶應義塾大学が、4年生メンバーの就職を理由に世界大学セーリング選手権大会の権利を辞退し、本学が日本代表として出場することが決定したのです。複雑な思いを抱きながらも「せっかくのチャンスを生かさなくては!」と気持ちを切り替えたというメンバーたち。
また、本大会は男女混合でのレースになるため、これまで出番がなかった女子選手3人が加わり、練習をスタート。「出られない仲間のためにも、結果を残したい」「世界での経験をチームの成長につなげたい」「練習用ヨットを無償で貸してくれるなど、支えてくださったOBや地元の方に恩返しできるよう全力を出したい」と思いを語ってくれました。
2024年6月、イタリアで開催された「FISUデゼンツァーノ2024世界大学セーリング選手権大会」に日本代表として出場。予選では世界の強豪と互角に渡り合う場面もありましたが、上位チームが競う「ゴールドフリート」進出には届かず、下位チームが競う「シルバーフリート」へ。
最終順位は全16チーム中12位でした。選手らは、レベルの違いを思い知らされながらも、各国の選手との交流を通じて日々成長し、大会終了時には日本をたつ頃とは目の輝きが違っていたといいます。帰国後、すぐに開催された2024年度中部学生ヨット個人選手権大会では、2艇が全日本出場枠獲得という数年ぶりの快挙を達成。森コーチは「10月のインカレ団体予選に向け、本格的な練習が始まります。夏合宿でどこまで成長できるか、今から楽しみです」と意欲を見せました。
レースの際に、海上の選手への指示やルールの通知連絡は視覚信号「信号旗」で行われ、そこで使用されるのが「国際信号旗」です。スタート前の予告信号を送る旗、コース変更やレース中止を知らせる旗など、いくつも種類があり、選手はそれぞれの旗の意味を正確に理解しておく必要があります。
本学ヨット部が使用するこの信号旗は、森由美子コーチの親族が、普段から本番と同じ環境で練習できるようにと、手作りしてくださったもの。メンバーは「練習の段階からこのような『信号旗』を使っているチームは少なく、ありがたいです。大切に使わせていただいています」と話します。
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