瀬戸線プロジェクト

名古屋鉄道と瀬戸線を盛り上げるマーケティング企画

学びのコミュニティ 山岡ゼミ

2024年4月から7月にかけて、名古屋鉄道株式会社と経営学部 山岡隆志専門ゼミナールによる産学連携企画「瀬戸線プロジェクト」が実施されました。名鉄瀬戸線の利用者数を伸ばすためにどんなことができるか。学生たちは大学の外へ飛び出し、日頃から学んでいるマーケティングの知識を活かした企画提案に取り組みました。

お話を聞いた人たち
経営学部 山岡専門ゼミナールで上位入賞した2年生、3年生

PROJECT SUMMARY

どんなプロジェクト?

名古屋鉄道および名鉄グループは、2024年3月より「瀬戸線沿線価値向上プロジェクト」と銘打ち、名古屋市の栄町駅から瀬戸市の尾張瀬戸駅にかけてのエリアの活性化を目指す、さまざまな事業を仕掛けています。今回のマーケティングを専門とする山岡ゼミナールとの連携もこのプロジェクトの一環です。「名鉄瀬戸線の利用者数向上につながるマーケティングによる企画案」を考える課題に取り組みました。参加者は、山岡専門ゼミナールに所属する2年生、3年生の25名です。

4月25日に、名古屋鉄道の方から企画の趣旨、瀬戸線を取り巻く環境と課題について説明がされました。ここから、一連のマーケティング?プロセスに従ってプロジェクトが進行していきます。

WHAT WE LEARNED #01

最初のプロセスは、リサーチ。現場のリアルを体感

まずは、各自で瀬戸線沿線を自分の足を使って事前調査を実施しました。事前調査結果を踏まえて、1回目の企画を立案しました。質の高い調査と企画を行うためには、一度、一通りのプロセスを経験して事前に課題を整理しておくことが大事です。

事前調査と1回目の企画により、何を調査すべきか、企画する上でのどのようなことが問題になるかを把握し、課題感をもった上で、5月16日に本調査に臨みました。名古屋鉄道のコーディネイトのもと、実際に瀬戸線のいくつかの駅へ足を運ぶフィールドワークを行いました。午前中は受講生全員で大曽根駅へ。駅の近くを見て回り、大曽根本通商店街振興組合の理事長からは商店街の現状や課題などを聞きました。

午後は、「名古屋チーム」「尾張旭チーム」「瀬戸チーム」の3つに分かれて、名古屋鉄道の方と一緒に別々の地域を散策しました。名古屋チームは、尼ヶ坂駅へ向かい、高架下の活用で注目されるSAKUMACHI商店街を訪問しました。店舗経営者へのインタビューも行い、地域のニーズを知る機会となりました。尾張旭チームは、スカイワードあさひ、旭城を見学し、尾張旭市の職員さんに行政の取り組みについて説明を受けました。瀬戸チームは、瀬戸市の観光および産業の拠点施設である瀬戸蔵で、町の魅力や取り組みを聞きました。瀬戸蔵ミュージアムでは、瀬戸物の長い歴史を学びました。その後、各々で瀬戸市の歴史があるスポットを訪れました。

学生たちからは、「地域の様子を直に目にし、そこで暮らす人たちのお話を聞く機会はなかなかありません」「文字情報だけでは分からないことを体感できた」「お店を経営する方の考えを直接深く知ることができて良かった」といった声がありました。革新的な新製品やサービスを企画するためには、顧客ニーズを把握することが大事です。しかし、このニーズというものは顧客の深層にあり、表面にはなかなか現れないため、把握することが困難です。観察やインタビューなどを通して、ニーズの一端が把握することができます。

WHAT WE LEARNED #2

フィードバックを受け、磨かれていく企画

次に、各自が集めたフィールドワークでの情報を全員で共有する場が設けられました。これにより、25人分のデータを把握することができ、このデータを使って、2回目の企画に臨みました。2回目の企画は、本調査をもとにした名古屋鉄道に提出できる質の高い企画の立案が山岡先生から求められました。しかし、企業に提案できるレベルに達していたものは少数で、多くの学生がゼロから考え直すよう厳しいフィードバックを受けました。このプロセスをさらに2回繰り返すことで、最終的には4回企画を練り直す機会となり、劇的に各自の企画の質は高まりました。

審査は、論理性(現状分析から企画まで論理的に展開できているか)、実行可能性(実現できる企画内容か)、革新性(新規性がある独創的なアイディアか)、効果(今回の課題を解決する企画で、十分な効果が見込めるか)の4つの基準で評価されることが事前に学生に通知されていました。企画が実際の企業で実施される質の高いものとなるよう、実践的な基準を設けました。「説得力のあるデータの収集に力を入れた」「自分の得意な分野で、専門性が高いひとたちにアンケートをとって企画を具体化させた」など、マーケティング?プロセスに沿って思案を重ねました。

6月24日に最終企画書を提出し、名古屋鉄道の6名のスタッフによって、4つの審査基準に従って事前評価が行われました。事前評価によって7名の企画が選ばれ、発表会でプレゼンテーションの機会を得ることができました。7月1日に全ゼミ生に発表者が告知され、発表会で使用するスライドの提出期限は、7月3日に設定されました。6月24日に提出したスライドのままでもよく、発表会向けに改善したスライドでもどちらでも良いと案内されました。

WHAT WE LEARNED #03

実践的な4つの評価軸で光る7つの企画案

多種多様な企画案がそろい、選ばれた7案をプレゼンテーションする発表会を7月4日に開催されました。ひとり3分の持ち時間で順番にスライドを使って説明し、名古屋鉄道の方からの質問に対応しました。緊張しつつも、準備と練習の成果が発揮されました。これから実現に向けた検討が進められるため詳しい発表内容は書けませんが、瀬戸線沿線の町の魅力を引き出す案や、瀬戸線の車両でこれまでにないイベントを実施する案など、とても興味深いものばかりでした。深掘りしたデータを丁寧に整理して論理的に具体的な企画案におとしこんだものが多く、最後の講評では学生たちの発想力や分析力が高く評価されました。

NEXT STEP

最後まで諦めない努力が結果につながる

発表会での評価は、事前評価は考慮せず、当日のプレゼンテーションの内容で審査されました。ここでドラマが起きました。

事前評価で得点が1位だった企画は3位内にも入れず、事前評価で3位内に入ってなかった企画が発表会で1位に輝いたのです。1位になった学生は、6月24日に提出したものから、大幅に内容を改善し、何度もプレゼンの練習を重ねて万全の体制で本番の発表会に臨んだそうです。3日しかない期間に最後まで諦めず、スライドの改善を重ねた努力が実を結びました。

名古屋鉄道からは「実現に向けて検討したい企画がいくつかありました」と全体を総括したコメントがありました。学生の案がどのように展開かしていくのか、今後の動向が楽しみです。

最後に、「難しい課題だったけれど、その分自信が持てた」「フィールドワークで現地を知る調査の大切さがよく分かりました」といった声からは、このプロジェクトが、問題解決力向上や実践的なマーケティングの学びにつながったことがうかがえます。この経験が次のステップにつながる貴重なものとなったのではないでしょうか。

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