特設サイト第11回 アレルギー性鼻炎と漢方
いわゆる三寒四温の日々が続きます。
気温20度を超えるような日には、汗が冷えて、かえって風邪をひきやすくなってしまいますし、春の訪れとともに飛来する花粉や黄砂が原因で、鼻水や鼻づまりに悩まされている方も多いのではないでしょうか。テレビに映し出されるくすりのCMも、風邪薬から抗アレルギー薬へと移り変わり、流行り病でも季節を感じてしまいます。
今回は、アレルギー性鼻炎と漢方薬のお話。
アレルギー性鼻炎には、大きく分けて二つのタイプがあります。
一つはいわゆる花粉症で、アレルギー反応(過敏反応)の対象(アレルゲンとか、抗原と呼びます)がスギ花粉やブタクサ花粉など植物の花粉であることが多く、その開花時期に応じた「季節性アレルギー鼻炎」と呼ばれるものです。またもう一つは、ダニやほこりなど、私たちの身の回りにずっとあるものがアレルゲンである「通年性アレルギー性鼻炎」です。このように原因となるアレルゲンがわかっているものをアレルギー性鼻炎と呼ぶのですが、最近は「温度差アレルギー鼻炎」とか、新たな考え方も出てきてはいます。
アレルギー性鼻炎の治療には、麻黄(まおう)剤が用いられることが多く、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、越脾加朮湯(えっぴかじゅつとう)などがその代表的な処方です。漢方医学では、鼻水?鼻づまりを鼻粘膜における「水」の停滞と考えており、麻黄により、この「水」をさばこう(停滞を解消しよう)とするのです。
ただし、麻黄はエフェドリンやプソイドエフェドリンを主成分とするため、使用時には注意が必要です(第9回を参照ください)。また、麻黄の入った処方は胃を荒らしてしまうこともあるので、普段から胃腸の弱い方にはお勧めできません。
その場合は、麻黄の入っていない苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)を用います。ときには、めまいに用いることで有名な苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)も首から上の「水」の停滞をとる処方として応用されます。
(2015.3.25)