特設サイト第40回 閑話休題
この夏は雨が多く、八事キャンパスの植物もイマイチ育ちが遅いように思います。
ベンゼン池の水生植物3種をはじめ、計25種の植物を配置してありますが、旺盛に育っているものもあれば、去年よりは小ぶりなもの、植えてもなかなか根付いてくれないものもあり、あらためて育てることの難しさを感じております。
ベンゼン池の中では、昨年花をつけることのなかったガマが今年はハスやコウホネを押しやって、たくさんの穂をつけています。ガマといえば、花粉を蒲黄(ほおう)と呼び、因幡の白ウサギのごとく、外用して止血薬としますが、その雌花の毛状の花被片は綿の代用にされたこともあるそうです。
さて、これら25種の中で異彩を放っているのが、ワタ(綿、Gossypium)ではないでしょうか。
「くすり」というわけではありませんが、いわゆる衛生材料として用いられる脱脂綿の製造原料であるとなれば、立派な薬用植物と言えます。
生薬としての「ワタ」は、アオイ科Gossypium herbaceumまたはその他同属植物の種子の毛を用いるものであり、この毛を脱脂し、漂白すれば脱脂綿です。また、この種子を圧搾して得られる脂肪油を「メンジツ油(Oleum Gossypil)」と呼んで、石鹸の製造原料とすることも生薬学の教科書には載っています。
夏にきれいな花を咲かせるものとしてアオイ科の植物が知られており、その根の煎じ薬を咳止めに用いたり、根の粉末を和紙の製造原料として用いたりするトロロアオイやその花冠や萼(がく)をジャムやハイビスカス茶として使うローゼルなどもその仲間です。
そういえば、オクラもその一つですね。
アオイ科の植物の花は夏らしさを感じさせるものだと思いますが、みなさん、どうですか。
(2017.8.30)