在学生?教職員/ニュース 小原章裕学長記者懇談会を開催 2022年度の「データサイエンス?AI入門」新設と情報工学部設置について説明
小原章裕学長「ワンランク上の大学を目指す」意気込み示す
本学は11月24日、小原章裕学長と記者の懇談会を開催しました。2022年4月から、全学生対象の科目「データサイエンス?AI入門」を新設することと、10番目の学部として情報工学部を設置することを佐川雄二理工学部情報工学科教授(前副学長)が説明。新学部で教育?研究にあたる理工学部情報工学科の4教員がそれぞれ充実した教育?研究の一端を記者に示しました。
学長懇談会は、2019年4月に小原学長が就任して以来、初めて。5人の記者が出席しました。学長や教員らとの懇談の場も設けられました。
小原学長は冒頭、「私は就任以来、『ワンランク上の大学を目指す』をスローガンに大学運営をしている。この会で、本学が目指す教育?研究?社会貢献について理解を深めていただきたい」とあいさつしました。
「データサイエンス?AI入門」については、佐川教授が説明しました。この科目は、文理全学部の学生の数理?データサイエンス?AIへの関心を高め、かつ、数理?データサイエンス?AIを適切に理解し、それを活用する基礎的な能力を育成することを目的としています。文理の学部の教員がオムニバス形式で担当し、オンデマンドで聴講してもらう方法をとります。全15回の第1回は、池上彰教授に務めてもらいます。
他大学でも同様のプログラムが発表されていますが、佐川教授は「文理融合の総合大学として、文系の先生にも担当してもらうのが本学の特徴」と強調しました。
記者からは、文系学生にも導入することへの質問が出ました。佐川教授は「教養としてデータサイエンスを知っておく必要があるという考え方。データの落とし穴に惑わされないためにも備えておくべき知識だ」と答えました。
情報工学部はPBLを充実させ、社会から信頼される技術者を養成
- 情報工学部の特色を説明する佐川雄二教授
- 佐川雄二教授
情報工学部は、現在の理工学部情報工学科を改組して設置します。学部長予定者でもある佐川教授が研究?教育の概要を説明しました。社会から信頼される技術者を養成することを主眼に、PBL(Project Based Learning 課題解決型学習)を充実させること、実社会に存在する諸課題に取り組むスキルを磨くこと、本学の開学100周年にあたる2026年に1期生が卒業することなどを詳しく解説しました。
記者から、学科を充実させるのではなくなぜ学部を目指すのかと問われ、佐川教授は「目立つため。現在の理工学部の11学科の中では特に外部からは見えにくい。社会との連携を重視する意味でも学部にする必要がある」と明快に回答しました。
情報工学部で教える4教員による研究概要発表も
最新の研究の概要を発表した4教員とテーマは次の通り。
向井利春教授「触覚センサによる健康モニタリング」
柳田康幸教授「VR の五感展開」
吉川雅弥教授「Society5.0 でのサイバーフィジカルセキュリティ」
鈴木秀和准教授「産官学連携によるユビキタスシステムの社会実装」
- 向井利春教授
- 柳田康幸教授
- 吉川雅弥教授
- 鈴木秀和准教授
向井利春教授「触覚センサによる健康モニタリング」
静電容量型のゴム製触覚センサシートをベッドの下に敷き、この上に寝た被験者の呼吸や心拍を圧力変化を通して測ることで、睡眠の質の善し悪しやストレスの度合い、血圧などを推定する手法を研究している。今後は複数の測定値を統合し、より複雑な状態が判別できるようにしたい。
柳田康幸教授「VR の五感展開」
人の五感をバランスよく利用するメディア技術の構築を目指し、多様な感覚提示技術を研究している。触覚提示では学生が餅つきVR(バーチャル?リアリティー)システムを構築し、コンテストで全国制覇した。嗅覚提示については、空気砲の原理でにおいの塊を被験者の鼻先へピンポイントで運び、香りを時空間制御する研究を行っている。
吉川雅弥教授「Society5.0 でのサイバーフィジカルセキュリティ」
データを暗号化してIDパスワード認証をしても、改ざんや窃取の危険にさらされているため、次世代のセキュリティ対策を研究している。また、いくつかの暗号に対して、暗号化時の消費電力や漏えい電磁波を利用したサイドチャネル解析に初めて成功しており、その知見を人工知能(AI)のセキュリティに応用し、信用できるAIの構築にも取り組んでいる。
鈴木秀和准教授「産官学連携によるユビキタスシステムの社会実装」
日進市のごみ収集車とゴミステーションに各種センサを搭載し、ごみの排出?収集時間や環境情報等、都市のビッグデータを蓄積する研究プロジェクトについて紹介。LINEでごみ収集車接近を通知することにより、住民の行動変容を促し、ごみ放置時間の短縮などに役立てたい。産官学の研究に学生を参加させることで、デジタル人材育成にもつなげたい。