在学生?教職員/ニュース 障がい学生支援センターが「聴覚障がいのある方との対話会」を開催
「デフサポ」代表の牧野友香子さんが講演 活発な質疑応答
- 講演する牧野友香子さん
障がい学生支援センターは11月18日、天白キャンパス共通講義棟北で、「聴覚障がいのある方との対話会」を開きました。生まれつき重度の聴覚障がいがある牧野友香子さんを講師に招き、教職員や学生計30人が参加しました。障がいがあっても「選択肢」が当たり前にある人生を追求する牧野さんの生きざまや体験談に耳を傾け、質疑応答も活発に繰り広げられ、参加者は障がいへの理解を深めました。
障がいの有無にかかわらずすべての人たちが共生できる社会づくりに向けて考える場として開催しました。
牧野さんは、補聴器を外すと飛行機の轟音も聞こえず、補聴器を付けても人の声は聞こえません。読唇術で相手の言うことを理解します。幼稚園から中学校まで一般校に通い、公立高校、神戸大学を経て、一般就労でソニー株式会社に勤務しました。会社を辞めて2017年に株式会社デフサポ(東京都渋谷区)を設立、難聴者の「可能性」を広げる手伝いをする事業を進めています。
講演では、自らの生い立ちや起業の動機、聴覚障がい者の実情、支援の取り組みを紹介しました。質疑応答では、海外に行ったとき、英語はどう理解したのかを問われ、「英語は口の動きでは理解できない。筆談している」と回答。学校時代の勉強について質問されると、「授業では30%ぐらいしか理解できず、70%は教科書を読んで学んだ。黒板に書きながら話す先生は口元が見えず苦手だった。音声文字認識の機器があったらよかった」と回想しました。
大学時代は、冬山にこもったり、3カ月海外に行ったりしたといい、「大学時代に思い切り遊ぶこともしたので、世界が広がり、就活にも生きた。うまくエントリーシートを書いたら人事の目に留まりやすかった。大学時代にしかできないことをやってほしい」と、学生たちに呼びかけました。
最後に障がい学生支援センター長の宮嶋秀光人間学部教授が「障がいのある人や悩みを抱えている人も含めて、あらゆる学生が一体となって互いに支えあうキャンパスになるといい」と締めくくりました。
示唆に富む回答に学生らが障がい者への理解を深め、人生の刺激を受ける
対話会を終えて、学生からは「ソニーに勤めていた時、障がいのある自分にできることは何かを探した、という話が印象に残った」などの感想が聞かれました。
ボランティア協議会会長兼広報部長の渡邉明日香さん(法学部法学科3年)は最前列で聴講し、「聴覚障がい者の現状を理解できたと同時に、自分から率先して行動する生き方を学んだ。大学生活は失敗を恐れず、いろいろなことに積極的に取り組みたい」と感想を話し、刺激を受けていました。