在学生?教職員/ニュース 在日リトアニア大使を招き 特別講演会と「杉原千畝ウクライナ難民募金」目録贈呈式を開催
「リトアニアと杉原千畝」と題して日本語で講演
在日リトアニア大使館のオーレリウス?ジーカス特命全権大使による本学学生を対象にした特別講演会が7月19日、ナゴヤドーム前キャンパス南館で開催されました。ジーカス大使は2022年5月に大使に就任したばかりで、日本の大学で講演するのは初めてです。学生ら約70人が聴講しました。
講演会は、第二次世界大戦下のリトアニアでユダヤ人難民に「命のビザ」を発給した外交官、杉原千畝(1900~1986年)を研究する本学都市情報学部の稲葉千晴教授(国際関係論)が、「杉原千畝ボランティア?ガイド育成プログラム」の一環として、ジーカス大使を招いて企画しました。
「『命のビザ』は世界をつなぐ力を持っている」
- 講演会ではロシアのウクライナ侵攻にも触れたジーカス大使
金沢大学と早稲田大学で学び、リトアニア第二の都市で杉原記念館(旧日本領事館)があるカウナスの大学で東アジア研究センター長を務めていたジーカス大使は、「リトアニアと杉原千畝」と題して日本語で講演しました。
講演でジーカス大使は、杉原記念館や杉原がビザを発給し続けたホテル?メトロポリス、カウナス鉄道駅などカウナスの杉原ゆかりの地や、杉原の功績が縁となって日本とリトアニアの自治体間や教育?文化、政治?経済の交流が広がったことなどを紹介。「『命のビザ』の物語は国と国をつなぐ力、世界をつなぐ力を持っている」と強調しました。
講演会の後半では、稲葉教授が「ユダヤ人難民を救ったのは杉原だけではない。リトアニアが受け入れてアパートや食料、衣類や薬を提供したことで、ユダヤ人難民は生活することができた」と解説。ジーカス大使はロシアのウクライナ侵攻に触れて「今、当時と同じことが起こっている。人口約300万人のリトアニアはウクライナ難民6万人を受け入れている。この戦争が終わるまで支援を続けていく」と力を込めました。
集まった募金は約500万円
ジーカス大使は翌20日もナゴヤドーム前キャンパスを訪問。ロシアのウクライナ侵攻でリトアニアに逃れたウクライナ難民を支援するため、稲葉教授とゼミ生らが今年4月から取り組んでいる「杉原千畝ウクライナ難民募金」に寄せられた約500万円の目録贈呈式に臨みました。
「募金は就業支援に役立てたい」
西館で行われた贈呈式には小原章裕学長も同席し、メディア3社も取材に訪れました。冒頭、稲葉教授が募金活動の経緯や集まった募金を6月にリトアニアに送金したことなどを報告し、「ウクライナ難民は衣食住は足りているが、自立した生活ができることを望んでいる。募金は言語の習得など就業支援に役立てたい」と語りました。続いて、ゼミ生を代表して安藤桃花さん(4年)と山田拓斗さん(3年)がジーカス大使に目録を手渡しました。
- 募金活動の経過を報告する稲葉教授
- (左から)ジーカス大使、目録を手渡した安藤桃花さんと山田拓斗さん、稲葉教授
ジーカス大使は「市民からの支援が最も喜ばしい。『命のビザ』で日本とリトアニアが強い絆で結ばれたが、今回の寄付が再び日本とリトアニアをつないだ」と感謝の言葉を述べました。小原学長は「今、できることを精いっぱい考えて募金活動に取り組んだ経験は、これからの人生の糧になる。ご苦労さまでした」と学生たちを労いました。
贈呈式の後、メディアの取材を受けた安藤さんは「募金を必要なところで使って一人でも多くの難民が救われれば」、山田さんは「仕事に就くために使ってもらい、早く元の生活に戻れるようになってほしい」と話していました。稲葉教授によると、募金活動はクラウドファンディングも活用しながら今後も継続していくそうです。
- 感謝の言葉を述べるジーカス大使
- 募金に取り組んだ学生たちを労った小原学長