トップページ/ニュース 知財スペシャリストの学術研究支援センター後藤顧問が著書「暗黙の知財同盟」を刊行

 学術研究支援センターの後藤吉正顧問が執筆した「暗黙の知財同盟-イノベーションの継続と収益化を両立する特許活用戦略-」が3月4日、白桃書房から刊行されました。後藤顧問は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の理事等を歴任し、ビジネスの経験と多数のエビデンスに基づき本書を書き上げました。

市場を席捲する特許活用スキームを初めて明らかに

 特許の重要性は広く認識され、企業や大学も多額の予算を使っています。しかし、特許を活用して収益を獲得する具体スキームは各社の機密情報として扱われ、広く知られることはありませんでした。後藤顧問は日本知財学会誌優秀論文賞となった研究で、インクジェットプリンタ市場で、日米の3社が特許を活用して市場を席捲した戦略スキームを明らかにしました。それは、「必須特許権者は、相互に実施を容認するが、それ以外の企業には特許ライセンスしないことで市場を席捲する」「特許権者は大きな収益を得る」を示し、このスキームを「暗黙の知財同盟」と名付けました。その一方で、「性能は向上し価格は低下して(イノベーションが継続)消費者はメリットを得る」ので、独占禁止法に抵触しない点も妙味だと論じています。

 本書では、インクジェットプリンタの事例以外に、DVDドライブ、白色LED、携帯電話の基地局ネットワークを挙げ、市場を席捲しながらイノベーションを継続する戦略を解明しています。後藤顧問は「イノベーションの継続とイノベーションの収益化を両立するスキームを初めて提示した書籍になった。高い技術力があっても収益が得られなった日本企業の過去の教訓を生かし、日本経済の復活の兆しが見えた今こそ手に取ってもらいたい」とし、「知財担当者のみならず、経営者やスタートアップを目指す起業家にも大いに活用してもらいたい」と話しました。

 
 『暗黙の知財同盟-イノベーションの継続と収益化を両立する特許活用戦略-』はA5判、256ページ。定価3,000円+税。

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