トップページ/ニュース 理工学研究科と都市情報学研究科の論文博士の学位授与を挙行
論文博士の学位授与式が3月17日、天白キャンパスの本部棟で挙行され、株式会社安部日鋼工業相談役の西尾浩志さんに論文博士(工学)の学位記を、フェリス女学院中学校?高等学校講師で廣瀬武夫研究者の笹本玲央奈さんに論文博士(都市情報学)の学位記が、それぞれ小原章裕学長から授与されました。
西尾浩志さん(株式会社安部日鋼工業相談役)に「論文博士(工学)」の学位
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学位記を授与される西尾さん
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懇談する西尾さん
ひび割れが生じ易いコンクリートの欠点をなくすため、前もってプレストレスと呼ばれる圧縮力を与えた「プレストレストコンクリート構造」(PC構造)を使った構造物は、高速道路の橋など一定以上の規模のコンクリート構造物のほとんどで採用されており、厳密な施工管理(緊張管理)が求められていますが、近年の施工技術の発展で複雑な形態や施行形式を有するPC構造が増えたことで、従来の緊張管理のやり方が本来は使えなくなっています。
安部日鋼工業で技術畑を歩み、その後代表取締役副社長を務めた西尾さんは博士論文で、プレストレスを導入するための新しい解析方法を提案。その解析手法を用いて大規模計算による数値シミュレーションを実施し、実際にある大型PC橋梁の実測に基づいて提案手法を検証した結果、この手法を用いることで複雑な形態や施行形式を有するPC構造に対する合理的で精度の高い緊張管理が可能となったことを証明し、この手法を用いた合理的な管理方法を提案しました。
西尾さんは本学理工学部社会基盤デザイン工学科の石川靖晃教授とともに、東海地区の大学教員とコンクリートを扱う建設企業の有志でつくるLECOM研究会の約20年前の発足以来のメンバーで、この10年間、西尾さんが中心となり、石川教授も携わって進めてきた研究会でのPC構造の緊張管理に関する研究の成果を今回の博士論文にまとめました。石川教授は「新しい緊張解析手法を開発した点が独創的」と評価します。

授与式には児玉哲司?理工学研究科長と論文主査の石川教授も同席し、学位記を受け取った西尾さんは「論文作成は5月から始め、短い時間でしたが集中して取り組むことができ、楽しかったです。石川先生のご指導のおかげです」と振り返りました。そして「もともと生涯現役が初心で、会社の業務を退いた後は業界や学会の方々の相談に乗ることができるような窓口を作りたい」と意欲を見せていました。
学位 | 博士(工学) |
氏名 | 西尾 浩志(にしお?ひろし) |
論文題目 | PC構造における合理的な新緊張解析法の開発及び緊張管理に関する提言 |
笹本玲央奈さん(廣瀬武夫研究者)に「論文博士(都市情報学)」の学位
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学位記を授与される笹本さん
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懇談する笹本さん
日露戦争で戦死して軍人として初めて「軍神」と称され、その逸話が国定教科書や文部省唱歌でも紹介された海軍中佐?廣瀬武夫について、笹本さんは廣瀬に関する新聞などの報道や廣瀬を主題とする軍歌や琵琶歌などの歌曲、修身や国語の教科書、文学、出身地の大分県竹田市における顕彰の歴史などに加え、廣瀬直筆の手記や書簡などを読み解き、廣瀬の人物像について12年間にわたって研究、分析してきた成果を論文にまとめました。
博士論文の結論では、「軍神」として定着した日露戦争期、国際協調の時代となった第一次世界大戦後は温かい人柄への注目、満州事変以後は国家に身を捧げた生き方の強調、終戦後はロシアの人々からも愛された人間的魅力や平和愛好者と、廣瀬の人物像にはそれぞれの時代の理想が投影されていたと指摘。「身近な人間として共感でき、苦労人で努力家だった」などとまとめ、これまでにない廣瀬の人物像を打ち出しました。
日露戦争を研究する都市情報学部の稲葉千晴教授が2018年5月に竹田市の廣瀬神社を訪れた際、社務所で販売していた笹本さんの編著「廣瀬武夫からの絵はがき」を読んで感銘を受けて笹本さんと連絡を取り、笹本さんに「これまでの研究成果でぜひ博士論文を書き、本にして出版したら」と勧め、今回の博士論文につながりました。稲葉教授は「文学と歴史学の境界領域を切り開いた研究」と高く評価しています。

授与式には亀井栄治?都市情報学研究科長と稲葉教授(論文主査)が同席。小原学長から論文作成で苦労した点を聞かれた笹本さんは「私の専門は国文学ですが、歴史学や音楽など専門外のいろいろなジャンルに接する研究になり、勉強になりましたし、楽しかったです」。500ページにも及ぶ今回の論文をもとに本を出版する予定で「一般の方にも分かりやすくまとめ、年内に出版したい」と話していました。
学位 | 博士(都市情報学) |
氏名 | 笹本 玲央奈(ささもと?れおな) |
論文題目 |
日露の都市空間における海軍中佐?廣瀬武夫 ~未公刊書簡を視野に読み解く廣瀬中佐の表象と実像~ |