育て達人第146回 大原 賢一
エンジニアの3分野の技能を養い、ロボコンで学生を育てる
理工学部 メカトロニクス工学科 大原賢一 准教授(ロボットシステムデザイン)
理工学部にはロボットの研究者がたくさんいますが、大原准教授はロボットコンテストへの参加を通じて学生のモチベーションを高め、学外の人とのつながりも育む指導で独自性を出しています。
メカトロニクス工学科の魅力から語ってください。
人の支援を目的としたロボットと一緒に=天白キャンパス2号館で
ものづくりには機械と電気と情報の知識は重要です。エンジニアとしてこれらの知識を身につけていれば、広い視野でものづくりに携わることができます。機械、電気、情報の各分野のスペシャリストと連携しながら新たな製品を創出するスキルを培うことができる学科です。
指導の売りは何ですか。
自ら気づき学べる場を提供することを心掛けて指導をしています。メカトロニクス工学科の学生を対象に、「ロボットコンテスト参加を通じた高度メカトロニクス技術者育成教育」として、本学の戦略プラン「MS-26」の「学びのコミュニティ創出支援事業」に採択されています。この取り組みでは、ロボットコンテストに出て結果を出すことが1つの目的ですが、集まっている学生同士で相互に教え合いながら、同じ学年でのつながり、先輩後輩のつながりを持ちながら活動をし、それぞれがメカトロニクスの基礎を学んでいます。
研究室においても、学生自身が自ら学べる場をつくりたいと考え、学生を主体とした輪講の実施など、他のメンバーが持っているスキルを他のメンバーと共有する場を持たせています。
ロボコン出場を通してオンザジョブで学び、研究できますね。
ロボットコンテストは開催日が決まっており、参加するためには、そこまで間に合わせないといけません。この締め切りに向けて、ロボットの設計?製作からプログラミングまでのエンジニアとしての総合力が試されるので、学生にとっては良い成長の場となります。学生たちが自発的にロボット製作の技術を蓄積し、競技会に出ることでモチベーションを高め、4年生になったら自身の興味のある研究テーマの下で知識を深める。こうした流れを学科?研究室の文化にできればと考えています。
2017年4月に大学院理工学研究科メカトロニクス工学専攻が開設されますが。
設立初年度は定員(20名)を満たす人数が進学してくれる予定です。当研究室でも強力なメンバーが進学してくれる予定ですので、研究室、しいては専攻全体を盛り上げてくれることを期待しています。
教育?研究にあたってのモットーは。
新規性はもちろん大事だけれど、それ以上に、使って、喜んでくれるユーザーがいることが一番大事。エンジニアは社会に役立つものを作って初めて意味があります。大学?企業などと共同研究を行いながら、意味のある技術を世に出していきたいと学生にも話しています。要するに、使ってくれる人のことを考えたものづくりをしていきたいということです。
学生に望むことを語ってください。
もちろん成功体験は重要ですが、チャレンジしたことの失敗が許されるのが学生時代だと思っています。自分からチャレンジし、失敗しても、それを生かして成長してほしいと思っています。
メカトロニクス工学科の受験生にはどんなことを望みますか。
エンジニアとしての将来のイメージをもって受験してほしい。入学してから見えてくる世界も自分自身の気づきもありますが,どんなことをやりたいのか、高校時代から考えてほしいと思います。
今、抱いている夢をお聞かせください。
1つは卒業生が10年、20年たっても「あの研究室で学んでよかった」と思ってもらえるような研究室にしていくことです。もう1つは,中学生のころ、近所に電気機器メーカーのエンジニアをしているおじさんがいました。音響機器を見せてくれて、「この機能はおじさんが作ったんだよ」と教えてくれました。そのときのワクワク感と、自分もこうなりたいという思いがきっかけで、エンジニアの道を目指すことにしました。同じように、自分の次の世代に夢を与えていけたらと考えています。
どんな趣味を持っていますか。
以前は趣味でサックスをやっていましたが、最近はやれていません。今の趣味は2歳と0歳の子どもたちと遊ぶことです。
マイクロマウス競技会出場に向けて指導する大原准教授=天白キャンパス2号館で
大原 賢一(おおはら?けんいち)
2008年、筑波大学で博士(工学)を取得。2007年、産業技術総合研究所知能システム研究部門空間機能研究グループでテクニカルスタッフ、2008年、大阪大学大学院基礎工学研究科助教、2012年、同研究科特任講師。2013年、大发体育官网_澳门游戏网站理工学部メカトロニクス工学科准教授。2013年、日本ロボット学会欧文誌優秀論文賞など。研究分野は、ロボット用ミドルウエア、ユビキタス?ロボティクス、マイクロロボティクス。