大学概要【2024年度実施分】他施設協働による段階的な多職種連携教育の実践
薬学部
本取組では、チーム医療で活躍できる薬剤師の育成を目標として、1年次から体系的かつ、段階的に目標を設定し、薬学生が他大学の医療系学部(他職種)の学生と共に「チーム医療」を学びます。すなわち、低学年では「多職種の役割」「病いを有することの意味や医療者として患者への共感」について、高学年では病院や在宅での実臨床を想定した症例と模擬患者?家族を活用して他職種の学生と「チーム医療の重要性」について学びます。
ACTIVITY
医薬学入門IPE チーム医療を支える多職種連携教育の実践:「他の職種の役割を考え、理解する」(活動報告1)
2024/10/27
2018年度より多職種連携教育を名古屋大学や藤田医科大学の医学部の1年生と合同講義を行っています。薬学部1年生は「薬学教育モデル?コア?カリキュラム(令和4年度改訂版):改訂コアカリ」による講義改訂に伴って、プロフェッショナリズムの講義の一環として、名古屋大学との合同で医薬学入門IPEを対面で、藤田医科大学とはオンラインにて開催しました。
〇名古屋大学
10月9日(水)と16日(水)の2日間、本学薬学部1年生209名(9日138名、16日71名)は、名古屋大学医学部1年生112名(9日57名、16日55名)との合同講義「医薬学入門IPE」に参加しました。本講義は、地域医療や緩和医療の中で医療人としての倫理観を涵養するための多職種連携教育として位置づけられています。本講義の目的を以下に示しました:①多職種連携教育カードゲーム(iPEC)を通して、医療?介護?福祉系専門職名と各職種の役割を学ぶ、③地域医療や緩和医療に関する映画を通して、医療人として必要な倫理観などについて学習する、③少人数グループにて、グループワークに必要なコミュニケーション能力と態度を身につける、④自らの意見をプレゼンテーションする。
本講義の午前では、各学部学生は、大发体育官网_澳门游戏网站八事キャンパス薬学部と名古屋大学鶴舞キャンパス医学部に分かれて、映画「ピア」を鑑賞し(写真1?2)、その後、名城生は名古屋大学医学部に移動しました。午後のグループワークでは、薬学生と医学生が1つのグループとなり、薬学生や医学生のティーチングアシスタント(TA)の司会と補助により、最初にアイスブレイクとして、自己紹介と多職種役割ゲーム(写真3?4)を行いました。その後、映画「ピア」を鑑賞して地域の患者やその家族たちに対する医療について、「将来の医師?薬剤師として、地域医療に関わるときに大切にしたいこと、大事なこと」を課題として、思ったこと、感じたこと、疑問に思ったことをグループにて出し合い意見を集約し(写真5)、それをまとめて発表しました(写真6)。参加した薬学生からは、カードゲームを通じて「他職種の役割?連携を知ることで患者?家族にどのような医療が提供できるかを学習することができた」、シネメデュケーションを通して「地域医療での多職種連携の重要性、患者?家族のために何ができるか常に考える必要性を感じることができた」などの感想が多数ありました。このように、本活動目標が達成できたことを強く感じました。
本講義のスケジュール(オンラインと対面のハイブリッド):
午前:各大学にて映画鑑賞(写真1と2) ※映画鑑賞後、名城生は名古屋大学医学部に移動
午後:対面でグループワーク実施:アイスブレイク ①自己紹介?多職種連携カードゲーム(写真3?4)
? ②KJ法でのグループワーク(シネメデュケーション)(写真5) ? 発表(写真6)
〇藤田医科大学
10月16日(水)、本学薬学部1年生71名は、藤田医科大学医学部の1年生129名との合同講義「プロフェッショナリズムⅠ」に TEAMSを用いてオンラインで参加しました。
本講義のスケジュール(TEAMSにてグループワーク)
午前:アイスブレイク ? 講義「臨床倫理とは」、DVD「見えない終止符」視聴?分析?発表
午後:DVD「ある家庭の事情」視聴?分析?発表、チームワーク①についてグループワーク?発表
? 映画鑑賞?分析 ? チームワーク②についてグループワーク?発表
模擬患者?家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学[地域における専門職連携教育“つるまい?名城 IPE(多職種連携教育)”:アドバンスケアプランニングIPE](活動報告2)
2024/10/27
2024年度InterProfessional Education(IPE:多職種連携教育=専門職連携教育)は、従来と同様に対面にて5月17日(金)から開始されました[12月6日(金)まで、全17回名城生27名、他大学18名参加予定]。本IPEは、2016年度から5年次の単位認定として実施しています。医療現場で患者中心の質の高い医療を提供するためには、専門職連携を実践できる能力は不可欠です。そのため、①各専門職の役割や視点を理解する、②チームコミュニケーションに必要な態度とスキルを身につける、③患者中心医療の重要性を理解することを本実習の学習目標としています。討論する症例は「認知症が疑われる糖尿病の患者」であり、現代の高齢化社会での問題となっている認知症と糖尿病を取り上げました。10月4日(金)からは、④ACP(アドバンスケアプランニング )の概念を踏まえて、医療ケアを実践することを学習目標に加え、認知症の患者が誤嚥性肺炎となったときのACPについて考えることができるようにシナリオの一部を改訂しました。 ACPとは人生の最終段階で受ける医療やケアなどについて、患者本人と家族などの身近な人、医療従事者などが事前に繰り返し話し合う取り組みのことです。
効率よくグループワークを行ってもらうため、5月7日には事前講義としてIPEについての導入講義を行い、自己学習として1)IPEについての動画と解説、2) 今回使用するシナリオ、3) 認知症に関する各医療職用のビデオ教材の3種類を視聴してもらいました(大发体育官网_澳门游戏网站のホームページ名城IPE:https://yyipe.meijo-u.ac.jp)。
薬学生、医学生と看護学生は5~10名で1グループとなり、他の専門職種に対する心理的障壁を如何に解決するかを涵養します。各職種の専門的視点からの議論と相互理解のもと、患者自身でなく、患者家族にアプローチするという取組で行いました。改訂シナリオでのIPEの実施に向けてACPや誤嚥性肺炎の成因と予防について理解するための動画や資料も改訂し、以下のスケジュールで実施しました。なお、10月25日には、来名していたオーストラリアのMonash Universityの2名の教員が見学され、同じ IPEの教育者として取り組んでいる教員として、素晴らしいプログラムであると感想を頂きました(写真1)。
【IPEスケジュール:患者の療養指導とご家族に対する療養生活支援計画を作成】
全体で、オリエンテーション?自己紹介?チーム医療(写真2) ? グループに分かれ、①ミニレクチャー(各職種)? ②シナリオの問題点抽出(写真3) ? ③薬?医?看護学生別々に医療面談(写真4) ? ④情報を共有?統合?療養計画作成 ? ⑤グループごとに、療養計画について医療面談、フィードバック(写真5?6)。
②④でのグループワーク(写真3)や③⑤での模擬患者家族への医療面接(写真4?5)においては隣室のブリーフィングルームに設置されているモニターと音声から学生の様子、活発に討論がされているかを医学部教員と観察しました。終了後のアンケートでは、1)本大学には薬学以外の医療系の学部がないこと、実務実習でも経験できないことから、他の職種と真剣に患者?家族について検討できたので非常に良い機会となった、もっといろいろなことを話してみたいなと思った。2) ACPについて考えることができ、他の職種との相互理解に役立った、3)患者?家族からのフィードバックが患者?家族を深く理解することができた、4)他学部学生の患者への考え方や向き合い方などを学ぶことができた、などの回答が多くありました。このように、本活動目標が達成できたことを強く感じました。
模擬患者?家族参加型多職種連携教育 in 名古屋大学:選択特別講義「ウェアラブルカメラ装置を用いた地域におけるIPE」(特別IPE)(活動報告3)
2024/12/06
2016年度から5年次の単位認定として実施しています多職種連携教育(IPE)の2024年度 選択特別講義「ウェアラブルカメラ装置を用いた地域におけるIPE」(特別IPE)が、名古屋大学医学部鶴舞キャンパス 鶴友会館にて開催されました。
大发体育官网_澳门游戏网站の薬学(7名)、名古屋大学の医学(8名)、看護学(11名)や理学療法学?作業療法学(4名)、および日本福祉大学の社会福祉学(4名)の専攻科生が4グループに分かれて実施しました[全34名参加:12月2日(月)]。高齢化社会の介護医療?地域医療をテーマとして、「患者を生活者として理解した上で、患者や家族の医療ニーズを理解することができる療養計画を立案する」ために 5学科の学生(医?薬?看?理学療法/作業療法?社会福祉)がチームを組み、ディスカッションを行いました。すなわち、シナリオを元に症例検討した後、模擬患者?家族が待つ和室へと1つのグループが移動し、ウェアラブルカメラ装置を装着して、他の3グループはウェアラブルカメラ装置を装着せずに席を移動して、患者?家族中心の在宅訪問診療を模擬体験しました。このIPEを通じて、①チームコミュニケーション力や他職種の役割その、②生活者としての患者?家族の思いに気づくこと、③多職種連携の意義と効果を実感することを体験学習しました。
昨年度のウェアラブルカメラ装置を用いた取組におけるハード面(動画ライブの音声)や模擬患者家族と直接面談するグールプ数が限定されていたなどの課題は、機器を交換したことや全グループが模擬患者や模擬患者家族と直接面談する機会を設けたことで改善できました。ウェアラブルカメラ装置を装着したグループの様子は、各職種の視点での動画、また全員で患者、患者家族、5職種の視点を7場面同時に撮影した動画で確認しました。このように、全員でその場面を動画にて確認できたことから、「自分ならどうするのかを振り返ることができた」「遠隔診療や面談への応用ができることは良かった」という意見が多数ありました。在宅での多職種連携の意義とその効果を実感するという目標が達成できたと強く感じました。
本講義のスケジュール:
1.チームビルディング(オリエンテーション?アイスブレーク)(写真1)
2.ミニレクチャー(多職種連携の理想と現実)
3.グループワーク(患者理解と問題抽出や訪問診療の準備)(写真2)
4.模擬患者?家族に対する訪問診療(情報収集)(写真3)
5.訪問診療で得られた情報整理:
1)得られた情報を統合し、チームとしての課題と解決策の議論
2)ウェアラブルカメラ装置で撮影した動画を各職種に分かれて視聴:自職種について相違の振り返り
3)各職種(自職種)で気づきの共有
4)7分割動画を視聴し、グループで他職種および患者?家族の視点に対する気づきの共有(写真4)
6.グループワーク課題の発表と振り返り(写真5)
患者とその家族との面談(左はウェアラブルカメラ装置の装着、右は非装着)での様子(写真3)