特設サイト第112回 漢方処方解説(63)四君子湯

今回ご紹介する処方は、四君子湯(しくんしとう)です。
いわゆる「気虚」に用いる基本処方と言われ、「補気」作用をもつ人参、朮、茯苓、甘草の四味に生姜、大棗が加わった処方です。
主薬は人参であり、朮については古典的には白朮とされるものの、蒼朮も用いられています。この朮と茯苓は「湿邪」を取り除く作用をもち、「健脾」に役立つとされます。

越婢加朮湯

 「気」は、飲食物から「脾」によって得られる「水穀の精微」と大気から得られる「精気」とともに作られ、「肺」によって全身に巡らされ、「腎」に蓄えられるとされます。

 「気」は「脾」、つまり消化管によって作られるものですから、「補気」の基本は食欲の増進や消化吸収の改善であり、「健脾」に働く生薬が中心となるのは自明です。そのため、補陽?健脾薬(芳香性健胃薬とも言えます)の生姜や補気?補陰の大棗も加わって、「健脾」に役割を果たしています。ただし、急性症状で即効性を期待するときには、「補気薬」四味で用いるとあります。やはり、薬味の数が少ないほど、即効性があると考えられますね(←最近、改めて、そう感じています)。

 四君子湯の応用としては、虚弱者の慢性胃炎や食欲低下、胃もたれ、嘔気、腹満、腹鳴、下痢傾向などの消化器症状があり、それ故の倦怠感や手足のだるさ、無気力、さらに風邪をひきやすいなどの症状をもつ場合にも用いられています。この四君子湯と二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜)の合方が六君子湯であり、その名も「四足す二は六」となるところから付いたと言われています。薬味としては八種類となりますから、少しややこしいですね(^^)。

 四君子湯は「補気」の基本処方と言われるように、数多くの処方の中にあり(それを加減方とも言いますが)、六君子湯をはじめとして補中益気湯や帰脾湯、加味帰脾湯や半夏白朮天麻湯、清心蓮子飲などがそれにあたります。これまでに、このコラムの中で取り上げてきた処方ばかりですので、お馴染みの処方の中にあったと再認識できたのではないでしょうか。

 次回は、「補血」の基本処方と言える四物湯(しもつとう)をご紹介したいと思います。

(2024年7月26日)

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