特設サイト第27回 八事キャンパスの薬用植物(4)
梅雨明けを迎え、日増しに強くなる日差しの中で、いくつかの薬用植物が育っています。
種子から発芽させたものは、なかなか大きくならなかったのですが、ようやくそれらしい姿になってきました。今回は、その一部をご紹介しましょう。
とても元気に繁っているのは、フウロソウ科のゲンノショウコです。
その昔、お腹をこわした旅人が服用したところ、たちどころに薬効があらわれ、その効果の早さに「現(験)の証拠」と驚嘆したことに由来する名です。いわゆるタンニンが多く含まれ、整腸止瀉薬として利用されます。薬用部位として、開花期直前に葉が付いている地上部を用いるとされていますから、丁度今が採集時期です。代表的な日本の民間薬ですね。
また、種イモを植えて育てているショウガ科の薬用植物2種もすくすくと育っています。皆さん、お馴染みのショウキョウとウコンです。
ショウキョウは、葛根湯の構成生薬として扱われるときには、れっきとした「医薬品」ですが、スーパーマーケットで取り扱われるときには薬味などに用いられる生姜という「食品」です。
上述のソヨウもおなじですね。
食品と医薬品の区別は、それぞれ法律で規定されていますし、その法的な規制の境界線を「食薬区分」といいます。現在、わが国では176品目の生薬が医薬品として取り扱われていますが、スパイスなども含め、食品として取り扱われるものもあり、それらを正しく判別しなければなりません。
われわれが口にする飲食物は、原則として「食品」か、「医薬品」です。薬学部を卒業すると食品衛生管理者や食品衛生監視員の資格を取得できますし、当然のことながら薬剤師の資格は得るでしょうから、薬学部を卒業して専門職で働くということは、われわれが口にするものすべてに責任をもつということです。
(2016.7.22)