特設サイト第34回 漢方薬を安全に使うには
カコナール、ビスラットゴールド、コムレケア、ナイシトール、ココスリム、ボーコレン、ユリナール、チクナイン、ハイビナール、ズッキノン、ホエキンN、チクノーン…こんな商品がドラッグストアの棚に並んでいますが、なんだかわかりますか?
正解は、葛根湯(かっこんとう)、大柴胡湯(だいさいことう)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、五淋散(ごりんさん)、清心蓮子陰(せいしんれんしいん)、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)…と、すべて一般用医薬品(OTC薬)として販売されている漢方エキス製剤の商品名です。
効能効果をわかりやすく、かつインパクトのある名前をつけて販売促進を図りたい気持ちはわかりますが、その医薬品が漢方薬だなんてまったくわかりません。販売している薬剤師や登録販売者も混乱してしまうのではないでしょうか。
「一体何のくすりか」と。
最近、ドラッグストアでは漢方薬コーナーが作られ、いろいろな漢方薬を利用することができるようになってきました。でも、これらの商品は、漢方薬コーナーではなく、その他のOTC薬の棚に紛れ込んでいることが多いと思います。それくらい、これらのくすりに対して、漢方薬としての認識がないとも言えるのではないでしょうか。
2011年にOTC薬の生薬?漢方製剤のリスク分類が全面的に見直され、第3類から第2類に引き上げられたものがあるにもかかわらず、今では第1類も含めたすべてのOTC薬がネット販売も可能となっています。そこで、一般消費者のみならず、あまり漢方に詳しくない薬剤師や登録販売者でも漢方薬の安全な使い方を説明できるツールを作ろうと、2012年に厚生労働科学研究班が立ちあがり、私共も微力ながら参画してきました。
写真は、そのうちの一つ、葛根湯についての「使用者確認票」ですが、このコラムでも取り上げてきたように、葛根湯にはともすれば副作用をも引き起こす麻黄(まおう)や甘草(かんぞう)という生薬が配合されていますから、いろいろな注意事項が質問として挙げられ、「確認票」の一番上から順になぞることで、このくすりが使えるものか、ご自身で、あるいは薬剤師や登録販売者が判断できるようにしました。ドラッグストアの店頭などで目にすることもあると思います。裏面には、代表的な商品名も挙げてありますから、何の漢方薬なのか分かると思いますよ。
詳しくは、日本漢方生薬製剤協会のウェブサイト(制作物のご紹介にある一般用漢方処方の確認票)を訪れてみてください。作成した「一般用漢方処方の確認票」はすべてありますし、お問い合わせコーナーにも簡単な注意や困ったときにどうすればいいのか、いろいろな記載があります。
ぜひ、参考にしてください。
(2017.2.27)